2008年に起こった金融危機の実情をよく捉えたドキュメンタリーで、娯楽映画としても十分楽しめますが、聴衆に向かって資本主義というシステムについて重大な問題提起を行う、というムーア監督の意図がひしひしと伝わってくる力作でした。
私はマイケル・ムーアの大ファンで『ザ・ビッグワン』、『華氏911』、『シッコ』など彼の主要作品は殆ど観てます。『ザ・ビッグワン』はナイキ(NKE)が新興国の子供に不当労働させていることを糾弾した映画で、この映画を観たら間違えてもナイキの靴など買いたくなくなること請け合いです。『シッコ』では医療保険会社(HUM, AET, CI など)が経費節約のために患者に保険適用を認めない、という問題が取り上げられていましたし、『華氏911』では軍事企業やカーライルなどのプライベートファンドが政権中枢と密接な関係があることを暴きました。
私は今、株式投資が趣味になってしまっていますが、株式投資って資本主義を成立させる基本的な活動なので、実は多少の罪悪感みたいな矛盾した感情があります。そういうこともあって、社会的責任を全く無視して利益だけしか追求しないような企業にはあまり投資したくありません。マイケル・ムーアの映画はその点で、非常に参考になります。
また、マイケル・ムーア自身が監督ではないのですが『ザ・コーポレーション』という映画は企業の本質について多くの知識人(例えばノーム・チョムスキー、ハワード・ジン、ナオミ・クライン)にインタビューを行った映画で、その中にマイケル・ムーアも出てきます。ちょっと長い映画ですが、とてもお勧めの映画です。
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