2012年1月22日日曜日

最近読んだ投資関係の本

書評: 『投資信託は、この8本から選びなさい。』 中野晴啓著 ダイヤモンド社




まず、一言で言えばこの本は「良書」です。著者自身が「セゾン投信」という運用会社の社長であることから推察されますが、投資信託という金融商品について詳細な説明が書かれています。特に「日本には資産作りに適したよい投資信託がほとんどない(p.3)」、という不都合な真実を正直に記している点に好印象を持ちました。特に長期投資の利点について説明している第1章、金融機関の窓口で買う客が実は「カモ」られていることを記した第2章、投資信託という金融商品についての説明が書かれた第3章は投資初心者にとっても分かりやすく読めるだろうと思います。

第4章が本書のキモで長期投資に向いた投資信託が8つ上げられています。著者は時間がない読者はこの第4章だけ読んでほしい旨(p.8)を記していますが、私は正直なところ、この第4章だけはあまり読む価値がないと思っています。「セゾン投信」の社長という立場に立つ以上、仕方ないのかも知れませんが、8つ挙げられたお奨め投信のなかに自社の投信が2つも入っていました。甘めに考えるならば、スクリーニングという客観的なプロセスを経て得られた結果として自社商品が2つ入っていることもあるかも知れません。しかし、その商品(投資信託)の信託報酬は1つが0.74%、そしてもう1つが1.3%となっており、それほど魅力的な商品とは思えませんでした。

私自身、銀行の窓口で投資信託をよくわからないまま買わされた「カモ」で、経験上、投資信託がどんなにひどい金融商品であるかをよく知っているので、以前から数回にわたって投稿しましたが、「投資信託は全てダメ商品」、というのがより正確で正直な記述だと思います。買っていいのはインデックス連動型のETF位で、信託報酬が0.5%を超えるようなものは購入する側にとって不利な商品だと思います。



書評:『マッチポンプ売りの少女-童話が教える本当に怖いお金のこと』 マネー・ヘッタ・チャン著
あさ出版



この本は読み物としては面白いです。読んでいて吹き出してしまった箇所も幾つかありました。ただ、内容はメディアや金融について多少のリテラシーがある大人の読者にとっては常識的なことばかりなので、この分野での初心者が気軽に肩肘を張らずに読みたいという場合に限り、お奨めできる本です。

この本で語られる「物語」にはいずれも、ヘッテルとフエーテルという(ふざけた名前の架空の)登場人物がでてきますが、この2人は現実の世界でいかにもいそうなタイプとして描かれています。そうした読者に近しく思える彼らが、不条理このうえない世界で悲惨な目に合うというのが全ての物語の中心的なプロットです。物語は全て現実世界のパロディーですが、最後の物語(「インゴッドは死んだ」)だけは日本の財政破綻という未来の出来事について書かれています。

預金封鎖とハイパーインフレが起きるシナリオですが、個人的に一番笑ったのが『ジョジョの奇妙な冒険』のポルナレフみたいな髪型になったフエーテルが言う次のセリフ(p.177)です。

「あ・・ありのまま 今 起こったことを話すぜ! 
「オレは銀行に自分の金を預けていると思ったらいつのまにか下せなくなってた。がんばって稼いだ金が再来週には使えなくなってた」 
な・・ 何を言ってるのか わからねーと思うが オレも 何をされたのかわからなかった・・・。
頭がどうにかなりそうだった・・・。
催眠術だとか超スピードだとかそんなチャチなもんじゃあ 断じてねえ。
もっとおそろしいものの 片鱗を味わったぜ・・・。」

私はこれを読んで吹き出してしまったのですが、もう笑っている場合ではないのかも知れません。私たちもフエーテルと同じ運命をたどらないようにインフレヘッジをしておいたほうが良いのかも知れません。

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消費者の立場から優待株を評価する - ラーメン編

私には趣味が多くあって、株式投資はその中の1つですが、株を始める前からずっと続けてきたものの中に食べ歩きがあります。特にラーメンは専門分野で、首都圏にある有名な店には大体行ってきました。先日は神田にあるラーメン二郎に行ってきました。

(二郎名物の行列。この日は1時間半の待ち時間となりました)

(大、700円。写真では伝わりにくいですが、ものすごいボリュームです)

最近、人気がでてきた店では、めん徳二代目つじ田の飯田橋店にも行ってきました。

(二代目らーめん、950円)

ラーメンデータベース(Googleで「ラーメン ランキング」で検索すると最上位にでてくるサイト)の総合ランキング(指定範囲は東京都全域に設定)を見ると、ラーメン二郎神田店は22位、めん徳二代目つじ田飯田橋店は129位でした。このデータベースのランキングを見て気が付くのは上位にラーメン二郎の系列店が上位に並び(50位以内に12店も入っている)、私のような昔からのファンから見た有名店が信じられないような下位に並んでいる点です(例として「青葉」中野店が112位、「大勝軒」東池袋店は155位、「麺屋武蔵」新宿店が207位など)。

「ジロリアン」という言葉まで出来た最近の「二郎」人気を考えると、デフレ経済や景気の低迷が関係しているようにしか思えません。安価でお腹がいっぱいになるものを求める消費者が結果的に増えてきていることが「二郎」人気の大きな原因であるように思います。ただ、ラーメン店の人気は移ろいやすいので、現在の「二郎」人気も長続きしないように思います(株の銘柄で言うとDeNA (2432)やグリー (3632)のようなもので、人気が出てもしばらくすると冷めてしまうことになるような気がします)。

前置きが長くなりましたが、ラーメンを出している外食企業で株主優待を実施しているところではイートアンド(2882)、ホッコク(2906)、幸楽苑(7554)、ハイデイ日高(7611)、リンガーハット(8200)、ハチバン(9950)、王将フードサービス(9936)、株主優待のないところではワイエスフード(3358)、丸千代山岡家(3399)などがあります。以下に(投資家としてではなく)消費者としての立場から、先の企業の中から4社のラーメンを勝手評価したいと思います。

幸楽苑 - 「ホールド」
リンガーハット - 「バイ」
ハイデイ日高 - 「アウトパフォーム」
王将フードサービス - 「アウトパフォーム」

個人的には「リンガーハット」の長崎ちゃんぽんが大好きで、以前はよく「リンガーハット」で長崎ちゃんぽんを食べて、直後に「吉野家」に行って牛丼を食べるという「はしご」をよくやっていました。どちらも安くておいしいので、株主になって優待券をもらいたいという欲はあるのですが、株価がどちらも割高に思えるので持っていません。

「幸楽苑」のラーメンは確かに安いのですが、やはりそれなりの味しか出せていないような気がします(株価も割高だと思います)。

「ハイデイ日高」と「餃子の王将」は、正直なところ、店内の雰囲気だけでなく、メニューの中身まで似ていて、差別化しづらいところがあります。ラーメンに限って言えば、どちらも万人受けするような味で、これといった特徴はないのですが、逆に言えばどこに行っても同じ味なので安心感があります。また値段も安いので満足度はとても高いです(株価はどちらも妥当なところに落ち着いていると思います)。

(写真はらーめん日高屋神田店にて撮影)

以上、消費者として優待銘柄を幾つか勝手評価しました。私も消費者として「ここのラーメン、おいしいなあ。優待券欲しいなあ」、という誘惑に駆られることはあります。しかし、それだけの理由で株を買うと失敗することが多いので、投資する際はその会社の売り上げの推移やキャッシュフロー、財務状況などを事前に調べるのが良いように思います。

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2012年1月13日金曜日

2011年の投資成績

2011年は本当に波乱の1年でした。リスク資産に投資をしている以上、ポートフォリオの多少の上げ下げには覚悟が必要ですが、2011年は本当に振れ幅が大きかったような気がします。また日本株については完全に下げ相場で、TOPIXの1年間の騰落率は-18.9%と惨憺たる年でした。

私のポートフォリオのパフォーマンスも、-1.37% というマイナスの成績で終わってしまいました(配当を含めたトータルでのリターンでようやくプラスになっている感じです(+1.23%))。ただ、TOPIXをベンチマークとして、どれだけ市場平均をアウトパフォームしたかという観点から見てみると、2011年が今までで一番の好成績だったと思っています。

まず良かった点を振り返ってみると、株価が暴落する前にキャッシュポジションを作っていた点が大きかったと思います。私はいつも殆どキャッシュポジションを持たないで運用しているのですが、2011年については、3月と8月の暴落前に(たまたま)キャッシュポジションを持っていたのが幸いしました。パフォーマンスに寄与した銘柄としては組み入れ比率1位のウェルネット(2428)が3月以降、着実に上昇したのが大きかったです。また全体的に優待株は値動きの堅調なものが多く、2011年のような下げ相場でも大きく下げずに踏みとどまってくれた感じがします。

悪かった点は、銘柄選択のまずさがあったと思います。特に、「分散のためにとりあえず」、という安易な判断で、東京電力(9501)や野村ホールディングス(8604)、パナソニック(6752)やトヨタ(7203)、ホンダ(7262)、武田薬品(4502)などの大型株をポートフォリオに組み入れていましたが、これが良くなかったです。分散は有効なヘッジ手段だと思いますが、分散にこだわり過ぎるのも良くないということ、また最後はやはり自分で丹念に銘柄分析をして割安な銘柄を探し出すのが良い結果につながりやすい、ということを学んだ気がします。

2012年は2011年で得られた教訓を生かしたいですが、できれば何もしなくても株価が上がってくれる楽な相場になるといいですね。

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