2010年8月12日木曜日

ある日、この国は破産します

書評: 日本経済の真実―ある日、この国は破産します 辛坊治朗・辛坊正記著 幻冬舎、 国家の品格 (新潮新書) 藤原正彦著 新潮社

先日来、円高が進行して一時、ドル円は84円台にまで上昇しました。本日の日経平均は年初来安値を更新しましたが、このままの為替水準だとしばらくは株価も低迷しそうです。

日本の国の借金が900兆を超え、国民一人当たりの借金は710万円になるという報道がつい先日あったばかりですが、やはりこうした日本経済の状況を考えると、この為替水準はちょっと行き過ぎという気がします(見方を変えれば、日本の個人投資家にとっては米国株を買うのにいい時期だと思います)。


昨日、寝転がりながら辛坊さんの上の本を読みました。しばらく前ですが、通勤していると前の座席の人がこの本読んでまして、「ある日、この国は破産します」って副題が目をひきました。よくエコノミストが言っていますが、借金を除いた国民の金融資産は約1000兆円なのでこのラインを超えない限り、国債は消化されると私も思います。しかし、いわゆる「札割れ」が起きて国債が暴落する「Xデー」まで実はそれほど時間はないようにも思います。日本人はこういう事態に目をつぶって現状維持を出来る限り続けようとしていますが、まず無理だと思います。

辛坊さんのこの本はそうした「日本の不都合な真実」(p.133)に国民の目を向けさせる上で重要な役割を果たしている、と思いますが、どうも読後の後味が悪いです。ちょっと上から目線でいわゆる「リフレ派」の経済学者を「クルクルパー」などと悪態をついたりしているのですが、どうも経済について話をする人は興奮しすぎで、礼節を欠いたような表現をやたら使うので、正直、こういう頭でっかちの人たちの道徳感覚にはちょっと閉口してしまいます。


先日読んだ藤原正彦さんの「品格」はその点、ウィットやユーモアに富んでいて、とても楽しい本でした。数学者なのに論理以上に感覚を重視されている点、経済よりも道徳を重視されている点、非常に共感できる点がありました。やはりベストセラーになるだけのことはあると思いました。

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